愛媛県今治市吉海町本庄の津倉地区で11日にある秋祭りで、木造和船の櫂伝馬(かいでんま)が5年ぶりに復活する。かつては船主が多く、海上安全を願う櫂伝馬は地区が最もにぎわう神事だった。住民は「櫂伝馬が出ると津倉が元気になる。みんな楽しみにしてくれているので、うまくやりたい」と毎晩練習に励んでいる。
 津倉の櫂伝馬は南北朝時代に始まったと伝わり、船首に踊り子、船尾に「ケンガイ」が立ち、こぎ手10人が船を操り津倉湾を巡航する。花形の踊り子とケンガイは小学生が務めるが、地区に子どもがいなくなったため2010年を最後に途絶えた。
 今年4月、地区に転入してきた小学4年の御堂煌太君(10)が踊り子役を快諾。しかし、ケンガイをする子どもがいない。自治会長の村上保広さん(62)が、ケンガイの経験がある村上富夫さん(67)をくどき、富夫さんも「煌太君がやってくれるというなら」と引き受けた。